25年12月議会だより

ごあいさつ

今年の冬は寒い日と暖かい日が交互に訪れる近年にはない珍しい冬かと思いきや、立春を過ぎたころから本格的な冬の到来です。風邪などひかれないよう元気でお過ごしいただきたいと存じます。

12月議会では平成24年度の一般会計と特別会計の補正予算案や条例案の審議、陳情・請願の審査、24人の議員による一般質問が活発になされました。詳しくは2月20日発行の「いずも市議会だより№35」をご覧いただきたいと思います。

私の今回の議会だよりでは、12月議会での一般質問や私が所属している委員会の動きを中心に報告いたします。今年も引き続きよろしくお願いいたします。

12月議会での一般質問要旨

大きく3つの項目について質問をしました。その概要を掲載いたします。

質問項目1:斐川中央工業団地西工区の南側縁辺部で発見された道路遺構と今後の工業団地の造成に与える影響について

・・質問・・

① 道路遺構について、文化庁や県との協議状況

② 今後の西工区の造成に与える影響

③ 分譲開始時期は予定どおり平成27年1月と考えてよいか

・・答弁(曽田文化環境部長、吉井産業観光部長)・・

①   道路遺構は大規模な工事を行っており、幅9㍍の古代官道の跡である可能性が高く、丘陵の尾根上に1キロメートルにわたる規模で残っているところは全国的にもほとんどなく、平成26年度に保存に向け調査委員会を立ち上げ、道路遺構の範囲、年次調査計画、活用方法などを決めていくことになります。

②    保存する範囲については、最終的には文化庁や県の判断に基づくことになりますが、できる限り分譲用地が確保できるように調整していきます。

③   造成工事の完了の時期は、当初予定より半年程度遅れ、遅くても平成27年7月頃になると見込んでおります。

コメント:その後の市からの説明

・この道路遺構は、奈良時代の「山陰道」を通る古代官道、すなわち出雲風土記に記された「正西道(まにしのみち)」の一部と想定されています。これらについては、調査委員会でしっかりと調査して欲しいと思います。

・分譲面積については、道路遺構から22㍍離れた地点から造成工事を行うため、5,02ヘクタールから4,86ヘクタールになる見込みです。

・工事の完了時期は、部長答弁のとおり、平成27年の夏ごろです。

・全国的にも珍しい道路遺構の保存が工業団地の造成に大きな影響を与えることはありません。

道路

道路遺構(空撮):文化財課及び産業振興課の説明資料から

質問項目2:乳幼児等医療費の義務教育就学前までの無料化について

・・質問・・

義務教育就学前の子供の体は環境の変化や感染性ウイルスなどの病原 菌に敏感に反応し、病気にかかりやすく、医者通いが多いと経験から察します。子育て世代の医療費負担の軽減のため、義務教育就学前までは無料化すべきと考え、以下の点について伺う。

① 乳幼児等医療費の無料化を3歳未満としている理由

②   3歳から就学前までの幼児の医療費負担の制度と負担状況

③   就学前まで無料化することによる市の負担額の増加額

④   増加額が子育て支援課の予算全体に占める割合

⑤ 就学前まで無料化する意向があるのか。

・・答弁(長岡市長)・・

①   3歳未満の乳幼児については、医療機関を受診する機会が多く、経済的負担が大きいため、平成20年4月から無料化を実施しています。

②   県の制度に合わせて、1箇月、1医療機関当たりの上限が、入院で2,000円、通院で1,000円、薬局が無料で、1人当たりの保護者負担額はH24年度実績で年間6,480円です。

③   年間約4,000万円の新たな市負担額が必要になると試算しています。

④   子育て支援課の所管事業費は95億8,800万円で、そのうち市の一般財源は30億円です。増加額4,000万円は約1.3%を占めます。

⑤   市単独での医療費助成の拡充には大きな財政負担を伴います。他の子育て支援策との均衡も踏まえ、今後どの程度の軽減措置が図れるのか前向きに検討してまいります。

コメント

  • 乳幼児等医療費の無料化については、ほぼ毎議会で取り上げられ請願・陳情も出されております。特に、中学校卒業まで無料化すべきとの請願が出されています。これによると新たな市負担が5億6,000万円に達するというの財政上の理由と、子育て支援は医療費の無料化だけではないとの理由から不採択(否決)となっております。
  • 県内の市町村との比較(下表)でも下に位置しております。松江市から転入されたお母さんも「福祉先進市」の出雲市で乳幼児等医療費に一部負担があることに驚いておられました。
  • 私が所属している市議会の自民協議会でも、厳しい財政状況ではありますが、医者にかかる割合が多い小学校入学までの無料化について検討するよう要望しております。
  • 市長の答弁の通り、これから子育て施策全体の中で検討されることとなりますが是非とも実現してほしいと考えます。

 

県内市町村の乳幼児等医療費無料化の実施状況(H25年10月現在)

0歳から中学校卒業まで(1市6町1村)

大田市、奥出雲町、美郷町、邑南町

津和野町、吉賀町、西ノ島町、知夫村

0歳から小学校卒業まで(2市)

松江市、雲南市

0歳から小学校入学前まで(1市1町)

江津市、川本町

0歳から3歳未満まで(1市)

出雲市

無料化を実施せず(県制度と同じ。)

(2市3町)

浜田市、益田市、飯南町、隠岐の島町、海士町

*無料化とは、入院、通院、薬局が無料の意味です。

質問項目3:出雲市立総合医療センターについて

・・質問・・

出雲市立総合医療センター(旧平田市民病院)は出雲市東部地域の総合病院として医療を提供しています。経営は全国の公立病院と同様に厳しく、赤字体質が続いています。医療機関の連携と患者負担の軽減という観点を中心に、以下の点について伺う。

①  県立中央病院や島大附属病院という急性期病院で治療を受けた患者を受け入れ、総合医療センターで回復期を過ごし、早期に自宅に帰れるよう、病院間での十分な連携が取られているか。

②  医療情報のネットワークである「まめネット」により、開業医を含む地域の医療機関同士で患者情報が共有でき、これにより患者の医療費負担や重複検査等による心身上の負担が軽減できるとともに、病院にとっても診療材料費などの負担軽減が図られる。「まめネット」の導入準備を伺う。

③  H25年度中の現金収支の黒字の達成見込みを問う。

・・答弁(吾郷事務局長)・・

①  脳卒中と乳がんについて、診療計画を作成し、連携をしています。

②  「まめネット」について院内で合意ができており、H26年1月には運用を開始できるよう準備をしています。

*島根大学病院はH26年2月下旬に導入、県立中央病院は1年前に導入済

③   目標としている病床利用率80%をキープすることにより、現金収支の黒字化は達成できるのではないかと考えています。

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市立総合医療センターに導入された「まめネット」の端末

コメント

出雲市には島根大学病院、県立中央病院の2つの公立病院をはじめ、たくさんの医療機関に恵まれております。総合医療センターは、改革プラン(H21年度~H29年度)に基づき、ネットで地域の医療機関と連携し、患者負担の軽減を図りつつ、病状回復に寄与する体制を整えつつあることが確認できました。

環境経済常任委員会報告

「総合的な水田農業政策の確立に関する意見書の提出を求める請願」を採択

出雲市議会では、12月19日に「総合的な水田農業政策の確立に関する意見書」を可決し、衆参両院議長、内閣総理大臣、農林水産大臣に送付いたしました。

この意見書は、JAいずも、JA斐川町、出雲市農政会議、斐川町農政会議の代表者から出された請願を基に、議会で審議したもので4つの項目からなっています。

(国の政策内容に対する意見書の内容)

①  米の直接支払交付金について

国の方針:H26年産米から7,500円/反、5年後廃止

意見書:生産調整の強力なインセンティブとして機能していることから、円滑に需要に応じた生産が行われるまでを経過期間とし、その間の単価水準は固定すること。また、単価水準は生産現場が混乱しない適切な水準とすること。

②  米・畑作物の収入影響緩和対策(ナラシ対策)と畑作物の直接支払交付金

(ゲタ対策)について

国の方針:H26年産は現行通り。H27年産以降:法改正をした上で新しい対象者要件(認定農業者、集落営農、認定就農者とし、規模要件は課さない方向で改正。)で実施

意見書:対象者については、現場の実態を踏まえた要件を設定することとし、需要に応じた生産と水田フル活用の取り組みを行う地域の担い手とすること。(地域の一般農家も含める意味である。規模要件を課さない方針については評価する。)

③  意見書:需要に応じた米生産のあり方が不透明な中で、今後、米価の大幅な下落が懸念されるため、ナラシ対策だけでなく、地域の担い手のコスト割れを補填する仕組みを措置すること。

④  米の需給調整について

国の方針:5年後を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、国が策定する需給見通しを踏まえながら生産者や集荷業者・団体が中心になって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政・生産者団体・現場が一体となって取り組む。

意見書:食糧法においては、国は主食である米の需給と価格の安定を図るとされていることから、引き続き、米の需給と価格の安定に向けた対応に責任を持って取り組むこと。

新規事業紹介

事業名:災害時要支援者台帳システム整備事業

災害時に備え、避難支援を要する高齢者や障がい者の情報(住所、氏名、要介護度、障がいの等級など)を集約し、地図に記載するシステムが、今年の4月1日からスタートします。

①  要支援者台帳の整備

高齢者の要介護度3以上、障がい者手帳の区分1級、2級の条件に一致する人を抽出し、名簿を作成します。

②  作成した名簿の情報を地図情報に反映させ、要支援者の居住地や避難場所を把握するシステムを整備します。

③  名簿の活用は、本人から同意を得たうえで、平常時から、消防、警察、民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織その他の避難支援の実施に携わる関係者に提供されます。

コメント9月議会における一般質問で、「一人暮らし高齢者の安全・安心について」質問した際に、「災害時要支援者ネットワーク事業検討会を立ち上げ、要支援者の把握や一元的な情報管理について検討中である」との答弁がなされましたが、今回その内容が示されました。地域の福祉関係者や消防職員・団員、自治会の方々、民間事業者の方々などが収集された情報と今回の行政側が提供する資料とが相まって、より確かな支援ができる基盤が整いつつあります。 


行財政改革特別委員会報告~施設の見直しに当たって長岡市長に申し入れ書を提出~

・12月12日に萬代輝正委員長名で203の施設の見直しについて「スピード感をもって危機感を共有し、全庁あげての行財政改革が断行されるよう」下記の5項目について申し入れをしました。

①  行財政改革を断行するための市長直属の組織を再構築されたい。

(回答)その方向で検討中

②  203施設に関する歳入と歳出の目標値を速やかに設定されたい。

(回答)3月に提出する実施計画案に、利用者負担の在り方や経費圧縮目標値を盛り込む予定である。

③  施設のデータ化を終え、施設の「見える化」を早急に実施されたい。

(回答)3月中の作成・公表を予定している。

④  ものさし(評価基準)を設定し、評価結果を25年度に中に提示し、実行する際の課題と解決方法を速やかに示されたい。

(回答)評価基準(6項目)は2月7日の行財政改革特別委員会に提示済み。

評価結果は、9月中の作成・公表を予定している。

⑤実施計画後の実績の公表を短期間で行い、ローリングにより進捗に応じた今後の見通しも数値化によって示されたい。(長期的視点)

(回答) 実施計画案に示したい。H26年度からH28年度を集中改革期間とする。

コメント

2月7日の行財政改革特別委員会に執行部から具体的なスケジュールや評価基準が示され、この基準の精査ののち、203の施設について基準に従った点数付け作業が執行部において取り組まれます。執行部のスピード感をもった対応を引き続き求めていきたいと考えます。


議会運営委員会報告~「反問権」「傍聴者の託児」を3月議会から導入決定~

私が所属しております議会運営委員会は、議会活性化策の一つとして、昨年の12月25日に「反問権」の導入を決定いたしました。また、乳幼児をお持ちの方が安心して議会傍聴ができるよう「傍聴者の託児」も導入いたしました。
いずれも今年の3月議会から導入されます。

①   反問権の導入

・今までは、議員の質問に対し、市長などの執行部は答弁をするだけでしたが、反問権が導入されることによって市長等が議員に質問したり、意見を求めたりすることができ、これにより、論点が明確になり、議論を深めることができます。

・出雲市議会では、本会議での一般質問と委員会(常任委員会と特別委員会)での質問に限り反問権を行使できます。

・また、時間は一議員につき、反問と答弁を含めて一般質問の場合は10分です。

②   傍聴者の託児

・託児ができるのは、本会議と本会議中の委員会を傍聴する場合です。

・託児場所は、6階の和室(10畳)です。

・希望者は、傍聴希望日の1週間前までに議会事務局に申し込みが必要です。

活動スナップ(Ⅰ)

1月16日に、出雲市議会自民協議会はそれぞれ分担し、県選出の国会議員へ要望活動を行いました。私達政雲クラブは、衆議院議員会館の細田博之事務所を訪れ、「地方税源の充実確保」、「農業政策の確立」、「地域産業の活性化」、「交通網の整備」など8項目を要望したところであります。

細田

細田博之事務所にて松本祐次公設秘書へ要望

活動スナップ(Ⅱ)

私は、出雲市議会の国際交流促進事業として、6名の議員とともに中国陝西省の漢中市(出雲市の友好都市)と西安市に派遣されました(11月10日~13日)。

目的は、①行政交流の促進 ②民間交流の推進 ③トキ飼養の実情把握 ④文化、観光施設の視察 でした。(2月20日発行の市議会だよりNo.35号の6ページ参照)

写真は、民間交流の推進の一環として、偉志服装(漢中市から出雲市の企業に派遣されている技術研修生の出身企業)を訪問し、今後の技術研修生や実習生の派遣について、意見交換をしている場面です。工場長によると、中国においても賃金が上昇し、また技術も進み、工員の日本への魅力も薄れており、派遣人数を縮小することになるだろうとのことでありました。更に、最近の円安・人民元高により円の価値が低下していることも、日本で働くことの魅力を低下させている原因の一つのようです。

われわれ訪問団は、引き続きの民間交流の促進を伝えたところです。

研修

偉志服装で民間交流の推進について意見交換を行う。

活動スナップ(Ⅲ)

広報委員会での「いずも市議会だより№35」の編集作業

市議会では、定例会の終了後、「市議会だより」を発行しております。この「市議会だより」の編集、発行を行っているのが、広報委員会です。この委員会は各会派から選ばれた12人の議員で構成されております。「市議会だより」は、全国的にも珍しい議員自らの手作りの広報誌です。私はこの委員会の委員長として、市民の皆様に、わかりやすく親しみをもって読んでいただける議会紙を目指してこの委員会を運営しております。「市議会だより」について意見や要望があれば、メールなりで遠慮なくお寄せください。

委員紹介

  • 委員紹介

前列:大場利信委員長、渡部 勝副委員長、、伊藤繁満委員

後列(左から):寺本淳一委員、福島孝雄委員、神門 至委員、岸 道三委員、井原 優委員、湯淺啓史委員

(長廻利行委員、福代秀洋副議長、坂根 守議長は当日欠席)


 

終わりにあたって

2月20日から出雲市議会の定例会が始まりました(3月20日まで)。この議会では市長の施政方針やH26年度予算案が審議されます。行財政改革は喫緊の課題でありますが、地域経済の活性化や安全・安心施策、福祉、教育の推進も欠かせません。バランスのとれた市政運営を期待し、積極的に議事に臨んでいきます。

立春が過ぎたとはいえまだまだ寒い日が続きます。体調管理に十分に留意され、元気な日々をお過ごしください。

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