★市議会の報告★

27年9月議会【一般質問】

外国籍の児童・生徒に対する日本語教育の支援について

(この質問をした理由)

本市における外国籍住民の数は年々増加の一途をたどり、企業の生産活動や日常の消費により、地域経済に大きな利益をもたらしています。H24年7月に住民基本台帳法が改正になり、出雲市の住民として住民登録ができ、原則として10年間法律違反がなければ「永住者」資格が取れるようになっております。

子供連れの家族もあり、「教育」や「子育て支援」の要望もあります。外国人に暮らしやすく住みやすい地域として選ばれるには「日本語教育」や「子育て支援策」が不可欠であると考えます。

出雲市においては、平成17年度から、「帰国・外国籍児童生徒支援事業」を実施し、小中学校で日本語指導や学習支援に当たっています。

また、民間のNPO法人やボランティアにより、この夏休みに官民連携の「いずも多文化こども教室」が塩冶小学校と斐川町の中部小学校に設けられ、日本語の学習支援が実施されました。
ここでは、親の都合により日本へ同行した外国籍の児童・生徒に対する「日本語教育」について質問しました。

9-1

(質問)外国籍の児童・生徒について、住民登録されている学齢期(6歳~15歳)、学齢期前、学齢期後20歳までのそれぞれの最新の人数

杉谷学教育部長答弁

現時点で学齢期前:75人、学齢期:102人、学齢期後20歳まで:98人です。

 

(質問)学齢期の児童・生徒(102人)のうち不就学者の数

杉谷学教育部長答弁

本市において住民登録をしている学齢期の外国籍の児童・生徒は全て就学をしている状況で、不就学者数は0でございます。

(再質問)確認ですが、不就学者は本当にゼロですか。

杉谷学教育部長答弁

不就学者数につきましては、こちらで調べております数字では、0ということを確認をしております。

9-2

(質問)小学校および中学校への就学者の日本語による日常会話のレベル

杉谷学教育部長答弁

学齢期102人のうち

・20人は日本語で日常会話及び学習ができる状況にございます。

・残る82人と、日本国籍でありますけれども外国での生活が長いなどの理

由のために指導が必要な児童・生徒が10名を合わせた92人が日本語指

導を受けております。そのレベルは

レベルⅠ 日常会話が全く分からない。31人

レベルⅡ 日常会話が半分程度は聞いて分かるが、話すことは難しい。 20人

レベルⅢ 日常会話はある程度分かるが、学習に使う言語がほとんど分からない。16人

レベルⅣ 日常会話はほとんどできるが、学習言語で分からないことが多い。20人

レベルⅤ 日常会話は十分にできるが、学習言語でたまに分からないことがある。5人

日本語指導を受けている92人のうちで、半数を超える51人が、日常会話が十分にできない状況となっております。

 

(質問)本市において、学齢期前あるいは編入学前にある児童・生徒が日本語指導や学校に慣れるため、NPO法人や地域のボランティアによりプレスクールを実施しようとする動きがあるが、これについての所見

杉谷学教育部長答弁

プレスクールは、子どもはもとより、保護者の不安を取り除き、また同時に、学校における日本語指導教員等の負担軽減にもつ

ながるもので、大変有意義なものであると考えております。市内におきましては、NPO法人エスペランサがブラジル国籍の中学校入

学前の子どもを対象に、本年2月末から3月末の期間で、本市の民間国際交流団体事業補助金の一部を活用して実施をされております。

今後、他の市民団体等におかれましてもプレスクール開催の計画がありましたら、この補助金制度を活用していただきたいと考えております。

本市としましては、現在策定中の「出雲市多文化共生推進プラン」の中で、外国籍の子どもたちへの日本語教育等を重要な取り組みとして位置づけ、市民団体、企業等と連携を取り、必要に応じた支援を行ってまいります。

 

*プレスクールとは

外国籍の子どもあるいは保護者は、初めて就学する日本の学校で、言葉や習慣などで戸惑うことが多いので、できるだけ早く学校での授業や生活に順応することを目的に、就学前の段階で開催されているさまざまな教室をプレスクールと呼びます。

9-4

(再質問)民間のNPO法人は1月から3月までの期間を想定したプレスクールてすが、一歩進めて、東海地方の可児市や小牧市のような年中開かれた日本語を教える学校がこの出雲の地に必要と考えます。市で開設する意向を伺います。

杉谷学教育部長答弁

プレスクールについては、さまざまなレベルあるいは時期に日本あるいは出雲市に来る状況ですので、その来た段階から事前にそうした準備ができるプレスクールがあれば非常に有効であると考えております。可児市の状況につきましては、私も調べていますが、プレスクールのようなものと考えております。現段階で、すぐに市で開設することについては考えておりませんが、検討すべきものであると思っております。

 

(質問)県への出雲市からの重点要望に「就学前、編入学前の日本語指導など、課題解決のための施策を検討し、実施すること」とあります。県内でも多くの外国籍住民が暮らす出雲市において課題解決のための提案を率先して行うべきで、県に検討や実施を依頼するという消極的な感じを受けますが、その趣旨と内容を伺います。

杉谷学教育部長答弁

日本語レベルの低い児童・生徒が多いため、県加配教員に加えまして、本市で日本語指導教員を雇用し指導にあたっておりますが、学年相当の教科指導が十分にできない状況となっております。

外国籍児童・生徒に対する日本語指導は全国的、全県的な課題でもあり、本市においても早急に解決する必要があると考えております。

そのため、県加配教員の増員や、基本的な日本語、生活習慣及び日本の学校のルール等を事前に習得するための仕組みづくり等について、県に要望をしたところでございます。

 

(質問)併せて、本市における日本語指導教員の増員に引き続き尽力いただきたいが、所見を伺います。

杉谷学教育部長答弁

平成25年度(2013)以前と比較し、指導教員を県・市合わせまして6人から12人へと増員してきております。しかしながら、指導者1人当たりの対象児童・生徒数は、平成25年度(2013)当時約4人であったものが、現在では約8人と大幅に増加をしている状況にございます。

本市としましては、対象児童・生徒に対するきめ細やかな日本語指導と現場で奮闘しております教員の負担軽減を図るために、さらなる日本語指導の体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

(質問)教育委員長のこの件に関する所見を伺います。

成相善美教育委員長

学校側の校長さんとかといろいろお話を聞いたときに、なかなか指導教員が少ないということでいろんなところに支障が出ているということは聞いております。ぜひとも、縁あってこの出雲に来られ、家族で来られ、仕事をされてて、その中で、出雲の教育、そういった部分でまだまだ足りないところがたくさんあるかと思いますが、来られた子どもさんたち、また、保護者の方々が出雲でいろいろとたくさん勉強され、日本の教育を学んで、日本はすばらしかった、出雲はすばらしかったと言ってもらえるような教育現場を目指していきたいと思っております。

9-3

(一般質問後の感想)

  • 92人の児童・生徒が日本語指導を受けており、そのうちの半数以上の51人が日常会話が十分にできないことおよび指導者1人当たりが担当する人数は8人に及んでおり、今後の児童・生徒数の推移を考えると指導員の増員にさらに頑張ってほしいです。
  • 市においてプレスクールを開設することも大切と考えますので、私自身そちらの方でも尽力したいと考えています。

(質問)出雲市での今後の医療の供給体制について

(この質問をした理由)

H25年8月に発表された社会保障改革国民会議報告では

  • 2025年時点における75歳以上の高齢者の急激な増加に伴う医療需要の増加
  • 毎年1兆円近く伸びている国民医療費を抑制することによる社会保障制度の持続

に言及し、「病院で医療を完結する」スタイルから「地域(在宅)で医療を完結する」スタイルへ移行させ、医療、保健、福祉、介護の一層の連携により、地域での医療を加速させる方針を打ち出しています。

一方、入院患者および家族の立場からみると、現在の在院日数が短縮される中で退院後の療養生活の場所について漠然とした不安を抱く人も少なくありません。このような中で更に病床数、特に療養型病床数が削減されれば、自宅での介護能力も低く介護施設なども十分でない中で、不安は更に大きくなります。退院後に行き場のない患者を生じさせないように、受け皿となる地域での病床の確保や在宅医療・在宅介護を充実させることが不可欠であると考え、市当局の考えを質問しました。

*なお、国は、10年後の2025年時点では島根県全体で、病床数を約30%削減する方向を示しています。県は出雲圏域(=出雲市)における2025年時点の病床数や目指すべき医療提供体制を定めた地域医療構想をH28年度前半を目途に策定する予定です。

 

(参考)H27年7月1日現在の出雲市内の病院の病床数(精神病院を除く。)H27年9月議会一般質問項目1(医療供給体制)

慢性期:主に長期の療養が必要な患者が入院する病床(=療養型病床)のこと。

質問 「在宅医療」の意味を伺う。

長岡市長 

国は、今回の地域医療構想の検討の中で、今後は自宅だけでなく、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療のあり方について検討するとしています。

 

質問 「在家庭」で医療を継続することになった場合、「かかりつけ医」や訪問看護師などの医療系の人達との連携が大切になります。地域における「かかりつけ医」などとの連携について伺います。

長岡市長

自宅での療養生活を支えるためには、

  • かかりつけ医による連携のほか、訪問看護師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、ケアマネジャーや介護ヘルパーなどのサポート
  • 入院や専門的な検査が必要となった場合には、病状急変時の病院と診療所の連携など、多職種・多機関との連携・協力体制の構築が必要です。

今後、医師会等の医療関係者・介護関係者の協力を得ながら、切れ目なく在宅医療と介護サービスが一体的に提供できる体制の構築に向けて、具体的な取り組みを検討・実施していきます。

 

質問 「病院から在宅へ」の流れの中で、核家族化、共働き家庭が増える中、「家庭」での介護力には限界があります。介護施設や訪問看護等の整備について伺います。

長岡市長

今後、地域医療構想が策定された後、医療側・介護側それぞれの方向性が示され、10年間かけて調整が進められていくものと考えております。介護施設等の整備については、そうした国の動きに注目しながら、今後慎重に検討していきたいと考えております。

また、消費税を財源とする「地域医療介護総合確保基金」については、地域医療構想を踏まえた医療機関・介護施設の整備、医療・介護従事者の確保に関する事業などがその対象となりますが、今後、この基金を有効に活用し、体制整備を図っていく考えです。

佐藤茂健康福祉部長

地域医療構想において、仮に病床数の減少が示されればその受け皿として介護施設等を増やすことになろうかと思いますが、現時点では病床数の削減は決まったものはございません。

従って、介護施設等の整備は、医療の病床数等の方針が示された後に、すなわちH30年度以降の介護保険事業計画の中で定めることになります。

 

(この質問を終えて)

国民医療費がH25年度に40兆円を超えたという発表がなされ、今後団塊の世代が75歳以上になる2025年度にはさらに医療費が増えるという危機感から国は病院の病床を再編しようとしています。端的に言って、慢性期病床(療養型病床)を病院から切り離し、家庭や地域へ移行させよとしています。出雲医療圏(=出雲市)における具体的な病床数は、H28年度前半に県が策定する地域医療構想を待たなければなりませんが、いずれにしてもこの地域で退院後に行き場のない患者さんを輩出しないよう、医療と介護が一体となって対策が取られなければならないと考えます。

市から答弁は、現時点で不確定要素が多いため明確さに今一歩でしたが、患者さんが医療改革により退院後に行き場のないようなことだけはしないという意思は伝わりました。

なお、医療計画策定、介護保険事業計画策定、診療報酬改定、介護報酬改定の4つの作業がH29年度に同時になされます。この時点で国や県の具体的な方向性が明らかになると思います。H29年度は今後の方向を見極める注目すべき時期です。

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